ある日のこと。ヒヨコ三兄弟は、村のお祭りに出かけることになりました。
「ボクたちの屋台も出そうピヨ!コイン投げゲームだピヨ!」とヒヨコくんが提案しました。
「いいねピヨ~!フィッシュアーモンドを景品にしたら大人気だピヨ!」とぴもんくん。
「でも…コインの数やルールをきちんと決めないと、公平じゃないピヨ」とひよたくんが言いました。
三兄弟は相談しながら、ルールをバッチリ作りました。
──ところが当日。近所のちっちゃなピヨちゃんがやってきて、泣きそうな顔で言いました。
「わたし、コインを落としちゃって持ってないピヨ…でも遊びたいピヨ…」
ひよたくんは腕を組んで考えました。
「ルールでは、コインがなきゃ遊べないピヨ。それが公平だから…」
ヒヨコくんも真面目に頷きました。
でも、その時ぴもんくんがやさしく言いました。
「ルールは大事だけど、ピヨちゃんが泣いてたら楽しいお祭りにならないピヨ。景品は特別にちっちゃいのにして、一回遊ばせてあげるピヨ!」
ピヨちゃんはぱぁっと笑顔になり、「ありがとうピヨ!」と嬉しそうにゲームを楽しみました。
その姿を見て、ヒヨコくんとひよたくんも胸があったかくなりました。
「正しいだけじゃなくて、やさしさも大事なんだピヨ」
「情けがあるからこそ、道がひらけるんだねピヨ」
三兄弟はそう実感しながら、お祭りをもっと盛り上げていきました。
ことばのおくりもの
理屈で人を納得させられないときも、心を思いやるやさしさが道をつくる。
情けは時に、理よりも強い力になるのです。
