ある日、ヒヨコ三兄弟のヒヨコくん、ぴもんくん、ひよたくんは青空を見上げながら話していました。
「虹って、もっと近くで見たらどんな感じピヨ?」
ヒヨコくんが興味津々に言うと、ぴもんくんがガジガジとフィッシュアーモンドをかじりながら答えました。
「きっとキラキラしてておいしいピヨ……あれ? 食べ物じゃないピヨ!」
「近くで見られたら素敵だピヨ!」とひよたくんが目を輝かせます。
するとそこに、友達のベルちゃんがふわふわの毛を揺らしながらやってきました。
「みんなで気球に乗って虹を見に行くのはどう? きっと素敵よ!」
みんなで作戦を立て、次の日、ベルちゃんの提案で近くの森に住むリンちゃんが絵本に描いていた気球を再現してくれることになりました。
「恥ずかしいけど、手伝うよ……虹、きれいだろうな。」
リンちゃんはちょっと照れくさそうに答えます。
いよいよ冒険の出発日、完成した気球にみんなが乗り込む準備をしていると、川の向こうからすーさんがやってきました。
「みんな、気球でどこへ行くぞう?」
「虹を見に行くピヨ!」とヒヨコ三兄弟が答えると、すーさんも大喜び。
「それはいいぞう! でも……ボクは大きすぎて気球に乗れないぞう。」
みんなはがっかりしましたが、すーさんは笑顔で言いました。
「心配いらないぞう! ボクが下からみんなを見送るぞう。
そして、帰ってきたらおもしろいお話を聞かせてほしいぞう!」
すーさんに見送られながら、気球はふわりと空へと浮かび上がりました。
虹に向かう空の旅 気球の中では、ベルちゃんが持ってきたイチゴを食べたり、リンちゃんが絵本を広げてみんなにメルヘンなお話を読んだり、ヒヨコくんが「冒険は楽しいピヨ!」と叫んだりして、にぎやかでした。
途中、眠たがりのピヨちゃんはふとん代わりにぴもんくんの羽を借りて寝てしまいました。
すると、空の向こうに大きな虹がかかり始めました!
「すごいピヨ……!」とひよたくんが感動して目を輝かせます。
ベルちゃんも「やっぱりみんなで見る虹は格別だね!」とうれしそう。
リンちゃんは虹を見ながら新しいメルヘンの物語を思いついたようでした。
帰り道、気球が地上に降りると、すーさんが特製の麦ジュースと手作りのおもしろい旗を持って待っていました。
旗には「みんな、おかえりぞう! 虹の話を教えてぞう!」と書かれています。
ヒヨコ三兄弟とベルちゃん、リンちゃん、ピヨちゃんは大笑いしながらすーさんに虹の話をたっぷり聞かせました。
すーさんは笑いながら、「いつかボクも気球に乗れるように……ダイエットするぞう!」と言いましたが、みんなで「すーさんはそのままでいいよ!」と言って、みんなで虹の余韻を楽しみました。 おしまい
※タイトルのイラストは、熱気球にリンちゃんとベルちゃん、ヒヨコ三兄弟とピヨちゃんが乗っており、背景に虹が描かれた可愛らしいイラストです。