ある日の午後、ヒヨコ三兄弟は庭でおやつの時間を楽しんでいました。
テーブルの上には、ヒヨコママが焼いてくれたクッキーが山盛り。
「わーい!ボクがいちばんたくさん食べるピヨ!」とヒヨコくんは胸を張りました。
ぴもんくんもにこにこしながらクッキーを抱えこみ、
「これはボクの分ピヨ、だれにもあげないピヨ~」と夢中で食べています。
ひよたくんは二人を見て、少し考えました。
「でも…ベルちゃんやエルちゃんも、もし一緒に食べられたら喜ぶんじゃないかなピヨ?」
しかしヒヨコくんは「今はボクたちだけで楽しむピヨ!」と首を振り、
ぴもんくんも「お腹いっぱいになるまで独り占めピヨ!」と同意しました。
ところが、しばらくすると、山盛りだったクッキーはあっという間になくなってしまいました。
テーブルには食べかすだけが残り、三兄弟はお腹は満たされたけれど、なんだか胸の中がぽっかりと空いたような気持ちになりました。
そのとき、庭の門の外からベルちゃんとエルちゃんの声がしました。
「クッキーのいい匂いがしたけど…もう終わっちゃったかな?」
ヒヨコくんとぴもんくんは顔を見合わせて、胸がチクンとしました。
「ボクたち…自分の幸せだけを考えて、ふたりのことを思いやらなかったピヨ」
すると、ひよたくんが立ち上がって言いました。
「もう一度ママにお願いして、一緒に作ろうピヨ!今度はみんなで分け合って食べるんだピヨ!」
ママもにっこり笑って手伝ってくれ、ベルちゃんとエルちゃんも混ざって、にぎやかにクッキーを焼き直しました。
できあがったクッキーは前よりもおいしく感じて、みんなの笑顔で庭はあたたかい空気に包まれました。
ヒヨコくんは小さな声でつぶやきました。
「やっぱり、みんなの幸せがあると、自分の幸せももっと大きくなるピヨね」
ことばのおくりもの
周りの幸せを願わない幸せは、やがて孤独に変わります。
けれど、誰かの幸せを願う心を持てば、あなたの幸せは広がり、
もっと強く、もっとあたたかく、消えない光になります。
こめ
