ある晴れた午後、ヒヨコ三兄弟は森の小さな木の家の前に集まっていました。今日は木の家をもっと素敵にしようと色を塗り替える日です。刷毛やバケツを前にして、みんなわくわくしていました。
「どの色にしようピヨ?」とヒヨコくんが聞きます。
「みんなの意見を聞けば、きっといい色がわかるピヨ!」とぴもんくん。
「うん、そうしようピヨ!」とひよたくんも賛成しました。
そこで三兄弟は、隣に住むピヨちゃんやラジッピ、ミミックくんに次々と相談しました。ところが相談の仕方がちょっと変わっていました。三人とも自分が何色にしたいかは話さず、ただ「何色がいい?」とだけ尋ねたのです。
ピヨちゃんは静かに考えて「緑が落ち着くピヨ」と答え、ラジッピは丁寧に「黄色は遠くからでも明るく見えますよ」と言い、ミミックくんは大きな声で「赤が元気で楽しいな!」と提案しました。みんなの意見はバラバラで、三兄弟はますます迷ってしまいます。
「どれもいいって言われたピヨ…どうすればいいピヨ…」とヒヨコくん。
「聞けば聞くほど、決められないピヨ…」とぴもんくん。
「うーん…」とひよたくんも考え込んでしまいました。
そこへヒヨコママがやってきて、優しく微笑みました。「みんな、人に聞くのはいいことだけれど、まず自分の考えを話してみたらどうかしら?」と問いかけます。「『自分はこうしたい』と伝えたら、受け取る助言がぐっと役に立つのよ。」
三兄弟は顔を見合わせて、少し照れくさそうにそれぞれ自分の気持ちを話し始めました。
「ボクはね、朝の日差しに似合う黄色が好きピヨ。見るたびに元気になりそうピヨ!」とヒヨコくん。
「ボクは波の色みたいな青が好きピヨ。落ち着いて遊べそうピヨ。」とぴもんくん。
「ボクはね、二つの色を半分ずつにしてみたいピヨ。みんなの好きなところを合わせられるピヨ!」とひよたくん。
すると、先ほどの意見は魔法のように変わりました。ピヨちゃんは「黄色と青を隣り合わせにすると、どちらの良さも光るピヨ」と具体的なアイデアをくれました。ラジッピは「塗り分けのコツや乾きやすい順番を教えますよ」と実践的な助言をくれ、ミミックくんは「模様をつければもっと楽しくなるな!」と楽しげに提案してくれました。
自分たちの考えを示したことで、もらう助言はただの選択肢ではなく、三兄弟の願いを叶えるための道しるべになったのです。みんなで相談しながら、黄色と青のストライプにすることに決めました。塗り終えた木の家は、朝日にひかってにぎやかに輝き、見る人の心まで明るくするようでした。
その夜、三兄弟は満足そうに並んで座り、今日のことを話し合いました。
「人に聞くのは大切だけど、まず自分がどこに向かいたいか示すことが大事だピヨね!」とヒヨコくん。
「そうだピヨ。自分の考えが羅針盤みたいになって、助言が地図になるピヨ。」とぴもんくん。
「うん、みんなが手伝ってくれたから、もっと楽しくできたピヨ!」とひよたくん。
その日から、三兄弟は何かを相談するとき、まず自分の考えを話すようになりました。そうすることで、周りの人の意見はもっとやさしく、そして的確な助けに変わっていったのです。
📝ことばのおくりもの(丁寧に)
良い助言は、自らの羅針盤があってこそ見つけられます。答えを求める前に、どうしたいのか自らに問いかけてみてください。それが知恵への第一歩です。
