ある日の朝、ひよたくんはふと思いつきました。
「今日はボクが朝ごはんを作るピヨ!」と、いつもごはんを作ってくれているヒヨコママに向かって元気よく宣言します。
ヒヨコママは少し驚きながらも、「じゃあお願いしようかしら。でも無理はしないでね」と優しく声をかけました。
何を作ろうかとキッチンで悩んでいると、昨日ヒヨコくんが「ボクはふわふわのホットケーキが一番好きピヨ!」と言っていたのを思い出します。
ひよたくんは「よし、ホットケーキにするピヨ!」と決心。普段は見るだけだったボウルとフライパンを手に取り、大きなエプロンを身につけると、小さな羽で準備を始めました。
最初に材料をボウルに入れて混ぜようとします。「混ぜるだけだから簡単ピヨ……あれ?」と、粉がふわっと舞い上がり、キッチンに散らばってしまいます。
「まあ、もう一回やればいいピヨ!」と気を取り直してもう一度挑戦。しかし、今度はフライパンが熱すぎたのか、生地を流し込んだ瞬間にジュウッと焦げてしまいました。
焦げた匂いがキッチンに広がり、「ボク、やっぱり無理ピヨ……」とひよたくんはがっくりとうなだれてしまいます。
その様子を聞きつけたヒヨコくんが駆け寄ってきて、「失敗なんて当たり前ピヨ!ボクも最初ははちゃめちゃだったピヨ!」と笑顔で励まします。
ぴもんくんも遅れてやってきて、「そうピヨ。でもこのポリポリになったところもちょっとおいしいかもピヨ!」とおっとりした口調でフォロー。
兄たちの励ましにひよたくんは少し元気を取り戻しますが、まだ悔しさが残っています。
そこへヒヨコママが、そっとキッチンに入ってきました。
「ひよたくん、最初は誰でも失敗するものよ。大事なのは、失敗から学ぶことよ。生地を混ぜすぎないことと、フライパンは中火で少し温めてから焼くといいわ。」と具体的なアドバイスをくれます。
「もう一回だけ、やってみるピヨ……!」と、ひよたくんは再挑戦を決意。ヒヨコママの教え通り、火を中火にしてフライパンを慎重に温めると、今度はそっと生地を流し入れました。
ジューッと良い音がして、ふっくらとしたホットケーキがきれいなきつね色に焼き上がっていきます。
「できたピヨ!」と満面の笑みを浮かべるひよたくん。自信を取り戻したその顔は、最初に宣言した時以上に誇らしげです。
テーブルに並べられた出来たてのホットケーキを3人で囲みながら、ヒヨコくんは「これ、上手ピヨ!」とパクパク食べ始め、ぴもんくんも「ふっくらしてておいしいピヨ!」と大満足。
ひよたくんは、みんなの喜ぶ姿を見て「また作るピヨ!」と笑顔で宣言。ヒヨコママも「これからどんどん上手になるわね」と、優しく見守ります。
こうして、ひよたくんの小さな料理の挑戦は、家族の温かさに包まれながら成功に終わりました。
※タイトルのイラストには、フライパンを持ったひよたくんと、美味しそうなホットケーキを前にしたヒヨコくんとぴもんくんが描かれています。