今日は、ひよたくんにとって特別な日。
ヒヨコママから「お店でフィッシュアーモンドを買ってきてほしいな」と頼まれたのです。
いつもお兄ちゃんたちをまとめるしっかり者のひよたくんですが、実はひとりでおつかいをするのはこれが初めて。
「ええっ！ひとりで行くピヨ？」と一瞬驚きましたが、ヒヨコママの優しい笑顔に背中を押されて、意を決しました。
玄関で大きな声で「いってきますピヨ！」と叫び、ひよたくんは勇ましく家を出ました。
しかし、てちてちと3歩ほど歩いたところで、急に足が止まります。
「…やっぱりひとりじゃ心細いピヨ…」
心配でお腹がきゅるると鳴り、ひよたくんは家に戻ってヒヨコくんに助けを求めました。
「ヒヨコくん、一緒に行こうピヨ！」
頼れるお兄ちゃんにすがる思いで声をかけると、ヒヨコくんは得意げに胸を張りながらこう言いました。
「今日はひよたくんが頑張る日ピヨ！ボクはここで応援してるピヨ！」
普段はやんちゃなヒヨコくんの珍しいお兄ちゃんらしい言葉に、ひよたくんは少しだけ勇気をもらいます。
「ボク、やっぱり頑張るピヨ！」と再び外に出て、今度は少しだけ足取りがしっかりしました。
けれど、てちてち歩くうちにまた不安が押し寄せてきます。
「お店までちゃんと行けるピヨ？迷ったらどうするピヨ…」
またもや家に戻り、今度はぴもんくんに助けを求めました。
「ぴもんくん、一緒に行ってほしいピヨ！」
すると、ぴもんくんはフィッシュアーモンドをかじりながらこう答えました。
「ボク、フィッシュアーモンド食べて待ってるピヨ。ひよたくん、頑張るピヨ！」
あっさりと断られてしまい、ひよたくんはしょんぼり。
でも、「ここで諦めたらヒヨコママが困るピヨ！」と自分に言い聞かせ、再び外へ出発します。
てちてち歩くひよたくんの足取りは、最初は少し不安げでしたが、途中でご近所さんたちに出会うたびに気持ちが軽くなりました。
ベルちゃんがふわふわの耳を揺らしながら「ひよたくん、がんばってね！」と声をかけてくれたり、
ミミックくんが大きな口を開けて「安全第一だよ」とやさしく見送ってくれたりして、心強くなっていきます。
途中、花壇に咲く色とりどりのお花に目を奪われたり、小さな虫たちが楽しそうに飛び回る様子を見たりして、少しずつ緊張もほぐれていきました。
「これが春の匂いピヨ？」と、ひよたくんはちょっとだけ足を止め、深呼吸してみたり。
お店に到着すると、ひよたくんは小さな羽を震わせながらレジの店員さんにフィッシュアーモンドを指差してお願いしました。
「これをくださいピヨ！」
緊張して声が少し大きくなりましたが、店員さんは「立派なおつかいね」とにっこり。
大きな袋に入ったフィッシュアーモンドを小さな羽でしっかり抱え、「これでヒヨコママに喜んでもらえるピヨ！」とひよたくんも満足そうに笑顔を浮かべます。
帰り道も頑張っててちてち歩き、ついに家に到着！
玄関にはヒヨコくんとぴもんくんが並んで待っていました。
「やったピヨ！やればできるピヨ！」
「さすがひよたくんピヨ！」
二人から褒められて、ひよたくんは恥ずかしそうに照れ笑い。
ヒヨコママも、「ひよたくん、本当にありがとうピヨ！」と優しくぎゅっと抱きしめました。
ひよたくんは心の中で、「次も、きっとひとりで頑張れるピヨ！」と小さな決意を固めます。
こうして、ひよたくんのはじめてのおつかいは大成功！
三兄弟の絆もさらに深まった、心温まる1日となったのでした。
※タイトルのイラストは、フィッシュアーモンド専門店で買い物を済ませて嬉しそうにしているひよたくんです。しっかりフィッシュアーモンドの袋を抱えていて、なんだか誇らしげです。
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