読者の皆さん、突然ですが「乳酸=疲労物質」だと思い込まされていませんか?
運動後に筋肉が重だるく感じた時、「乳酸が溜まったから」と信じ切っていませんでしたか?
皆さんがそう考えるのも無理からぬことで、長年、乳酸は疲労の原因物質だと考えられてきました。
しかし、最近の研究では、その考え方が大きく変わってきているのです。
今回は、乳酸の本当の姿について解説していきますので、ぜひ乳酸に対する誤解を解いていってもらえたらと思います。
乳酸は悪者じゃない!むしろエネルギー源?
過去の誤解
かつて、激しい運動をした後、筋肉内に乳酸が蓄積すると、それが原因で筋肉が酸性になり、疲労を感じると考えられていました。
そのため、乳酸は「疲労物質」というレッテルを貼られてきたのです。
最新の研究で判明したこと
しかし、最近の研究により、乳酸は悪者ではないことが明らかになってきました。
エネルギー源になる
乳酸は、無酸素運動(激しい運動)により糖が分解される際に発生しますが、その後筋肉、脳や心臓などのエネルギー源として利用されます。
また、血液中の乳酸は肝臓でエネルギー源であるグリコーゲンに再合成されてリサイクルされます。
疲労の原因は多面的
疲労の原因は、筋肉の損傷や酸化、神経系の疲労、エネルギー不足など、様々な要因が考えられています。
疲労の原因は、乳酸が引き起こしているのではなく、様々な要素が複合的に作用して起こるということです。
なぜ「乳酸=疲労物質」という誤解が生まれたのか?
■実験結果の解釈:
過去に行われた実験で、「激しい運動後に筋肉に乳酸が蓄積される」という事実が確認されました。このことから、「乳酸が溜まる=疲労する」という単純な因果関係が導き出され、広く信じられるようになりました。
■酸性化による影響:
乳酸は酸性物質であり、筋肉が酸性になると筋肉の収縮が阻害されることが知られていました。このことから、乳酸の蓄積が筋肉の疲労を引き起こす直接的な原因だと考えられました。
■シンプルで分かりやすいから:
「乳酸が溜まると疲れる」という解釈は、非常にシンプルで理解しやすいものだったため、常識として伝わりやすかったのでしょう。
■他の要因の無視:
疲労には、乳酸以外にも様々な要因が関わっていることが近年明らかになってきましたが、乳酸に注目が集まりすぎて、他の要因が軽視されてきました。
最後に
乳酸が疲労の原因とされてきたのは、誤解や過去の研究の限界から生まれたものでした。最新の研究が示す通り、乳酸はむしろ体にとって重要なエネルギー源です。運動中に生じる乳酸は、体内で再利用され、エネルギーを補給する役割を果たします。
これからは、「乳酸が溜まったから疲れた」と単純に考えるのではなく、疲労の原因が多面的であることを理解し、適切な対策を取ることが大切です。適度な休息、バランスの良い栄養摂取、そして継続的な運動が、疲労を軽減し、体の回復を促す鍵となることを肝に銘じましょう。
運動後、筋肉のだるさを感じた時には、乳酸を悪者扱いせず、むしろその存在が体を支えてくれていることを思い出してみてくださいね。
それでは、今日はここまで!記事が面白いと思ったらSNSなどでシェアしていただけると、筆者がしめしめと嬉しくなります。
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